トークは実況動画の命であるならば、編集は動画の体である。編集がなければ、そもそも存在さえ危うい。どんなに饒舌なトークでも、編集がなければ形にならないのだ。
この記事では、編集の必要性を今一度確認するとともに、
・どんな編集ソフトがあるか?
・編集の流れの一例
・編集に関するテクニック
・編集の上手いゲーム実況
を紹介する。
目次
編集はなぜ必要?
実況のみならず、動画の制作には編集作業がつきものだ。というのも、動画の面白さのほとんどは、編集によって引き出されるものだからである。
もちろん、映像そのものが面白い場合も多い。しかし、それは場面としての面白さであって、動画としての面白さとは違うのだ。
この違いを知るために、一度、トークが楽しく、ゲームにも面白いイベントがいくつかあるが、編集作業を一切しない実況動画を考えてみてほしい。カットされないロード画面。イベントのない暇な時間。トークも楽しいが、常にさえているわけではない。何より字幕も効果音もなく、あるのはゲームプレイ画面のみ。
たしかに面白い要素はある。しかし、動画としては面白いだろうか。
先も言ったように、動画の面白さと場面の面白さは異なる。一つの場面や一個のトークがウケることは多々あるし、ゲームの展開に関しても起伏があるのは当然だ。しかし、面白さが特にない、平坦な時間は確実にある。そしてその時間が長いほど、視聴者も飽きてしまうのだ。
編集では、不要なシーンの切り取りや、ネタの盛り上げを行って、動きを次々起こしていく必要がある。
編集の手順の一例
ある意味では動画制作そのものを指す編集であるが、やり方は千差万別だ。
ここでは、基本的ともいえる流れについて説明する。初心者の場合は、まずはこれを試してみてほしい。
まずは構成の決定
録画する段階である程度、ざっくりでもいいから作る動画の構成を考える必要がある。
動画の流れは主に以下のようなものが主流だ。
出だし、OP
導入。まず見に来た視聴者を引き込み、どんな感じの動画かを説明する重要な部分でもある。以下のようなパターンがある。
1今回の動画のダイジェスト
2シリーズ通してのOP
3前回のあらすじ
あいさつ
冒頭のあいさつ。自己紹介および動画シリーズの紹介、今回動画の概要などを説明する場面。実況者の見せ所でもあり、ここで視聴するか否かが決まることもある。
本編
ゲーム実況の本編。
ED、あいさつ
終了のあいさつや次回予告を行う。「最後の最後にゲームオーバーになる」など、動画にオチを付けて終わるとしても、「この動画はこれで終わり」ということを伝えるために入れることをおすすめする。またOPと同じく、共通のEDやEDテーマ代わりのBGMを用意することも効果的。
収録には、構成を意識してから臨もう。流れと動画を切り上げる目的(ボスを倒すまで、アイテムを手に入れるまでなど)をメモしておくのもおすすめだ。
動画の命、カット作業
収録が終わったら、まず最初にするのはカット作業。
カットを最初に行うことで、使わない部分を取り除くことができるため、編集する場面を少なくすることが可能になる。また、必要か否かの判断のために動画を確認しなおすことから、構成を考え直すことも可能だ。
カットするうえで大切なこととして、不要なシーンをためらわず消すことを挙げたい。せっかく録画したから、ここは自分ではうまくできていると思うから、などの理由で場面を取っておくのは、やめた方がいい。残酷な話だが、視聴者にとっては実況者の苦労などどうでもいい。できた動画の面白さがすべてなのだ。そして冗長さは、面白さとは正反対である。
自分が満足するための動画か、あるいは視聴されるための動画か。どちらのスタンスかにもよるが、動画を見てほしいならば、思い切ることが大切だ。
カットの後につなぎを入れる
カットした場合であるが、いきなりカットしたところ同士をつなげては違和感が多く、視聴者を混乱させてしまう。
カットした部分には、トランジションと呼ばれる演出が必要である。簡単に言えば、フェードアウトやエフェクトをいれて場面転換したことを視聴者に教えるようにしようということ。このクッションを置くだけで、動画が与える印象が全く変わってくる。
盛り上げるための字幕や効果音
カットが終わり、シーンを厳選できたら、次は字幕入れ・音入れである。
ここからは、動画のベースが完成し、あとは装飾という段階になる。面白いシーンに、さらに面白くなる要素を加えていくのだ。実況者のセンスがかなり出やすいので、張り切って楽しもう。
ただ、装飾はあまりつけすぎると見づらさや苛立ちの原因にもなる。ここはカットとは逆に、できるだけやりすぎないことを意識するといい。
サムネイル作成
動画の顔であるサムネイルの作成。字幕がある部分を使ったり、インパクトのある場面を出すことで、視聴者を引き付ける。完成した動画の中から、最高のシーンを出そう。サムネイルの場面目当てで動画に来る視聴者が、必ず出てくるはずだ。
動画の編集には、以上のような手順でやることをおすすめする。
おすすめの動画編集ソフト
無料初心者向け / MicroSoftフォト、iMovie
パソコンにすでに用意されているこれらのソフトは、初心者のうちであれば十分強力な編集ツールになる。どちらも慣れるまで使いづらさを感じるかもしれないが、カット、エフェクト、テロップといった一通りの編集作業は可能だ。
まずは基礎を身につけるつもりで使ってみよう。
無料上級者向け / Atiutl
無料の編集ソフト。拡張性に優れた非常に有力な編集ソフトであり、使いこなすことができれば優良ソフトに勝るとも劣らない多様な編集が可能である。
しかし拡張機能の負荷が煩雑で、操作がわかりにくいため、初心者にはおすすめできない。使うならば、使っている編集ソフトでは物足りなかったり、もっと質のいい編集がしたいという場合に。
有料版おすすめ / PowerDirector(12,980円~)
動作が軽い、使いやすい、機能が十分と三拍子そろったソフト。YouTuberやビジネスマンも活用する、常に売り上げ上位の人気編集ソフトである。初心者から上級者まで、動画制作をするあらゆる人におすすめできる。
ただし、値段は決して安くない。慎重に考えてから決断しよう。
編集が上手いゲーム実況者
ヒカキン
いわずと知れた大物YouTuber。しかしその動画編集技術に注目すれば、神業ともいえる技量があることがわかる。動画自体を楽しみながら、作り手としての視線で見れば、目からウロコの編集がどんどん出てくるだろう。BGMとテロップには特に注目。
レオモン
高いトーク力と編集力が魅力の実況者。自作のストーリーやOPなどを制作し、動画内でも随所に高い技術が見られる。構成の参考としても非常にいい。高い壁に見えるが、「もし作るとしたら」という視点で見ていけば、気づきは多いはずだ。また見ていてとても面白いので、ストレスなく学ぶことができる。
ガッkoya
ボーカロイドを使った実況が主であり、知らない人や参考にならないと思う人も多いかもしれない。
しかし注目すべきは動画の構成要素である。ネタを尽きさせないこと、キャラをしっかり立てることの見本になるとともに、何よりプレイが下手でも編集次第、あるいは構成次第で魅せることができるという良い例だ。
こういった見せ方があることも覚えておこう。
まとめ
再生数獲得には、視聴者を離さない、動きある編集が重要である。
場合によっては、ゲームジャンルよりも編集が再生数のカギを握る場合もあることもある。編集作業は面倒も多いが、手間をかけるほどいいものを作れることは間違いない。ぜひ力を注いでほしい。